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新型コロナを契機に、世界恐慌に突入か!! [世界の動き]

新型コロナを契機に、世界恐慌に突入か!!

1)新型コロナを契機に、世界恐慌に突入か!!

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<ニューヨーク証券取引所>


 米国における新型コロナウィルスの大流行、蔓延が明らかとなった。米国の貧しい医療体制が新型コロナ感染症を急速に増大させることもほぼ確実だ。バカ高い医療費のため米国民の多くは感染しても病院に行けない、治療できない、それゆえ感染は確実に広まる。しかも、短期間では治まらない。少なくとも1年、あるいはそれ以上続く、そのこともほぼ明らかだ。

 新型コロナウィルスへの恐怖が、「現金」へと資本を殺到させた。株はもちろんのこと、金や国債さえ売られ、「現金」が王様になった。

 危機が発生してくる道筋は、2008年のサブプライム恐慌(「リーマン・ショック」と呼ぶのは表面的な現象の描写から来る名称である。より正確には資本主義の矛盾から来る恐慌と捉えるべきなので、伊藤誠氏による呼称「サブプライム恐慌」を踏襲しこのように呼ぶ。)とは違うが、最終的に信用不安から金融恐慌に至るのは同じだ。なぜ、信用不安から金融恐慌に至るのか、その理由を認識しなければならない。

 サブプライム恐慌では、大手証券会社リーマン・ブラザーズが破綻し、金融資本、銀行や投資家が一斉に投資を引き揚げ投資資金の回収に走り、そのことで資金が流れなくなり、企業活動が止まり、世界的な需要蒸発が起き、生産が暴力的に低下した消費の水準に引き下げられた。もっともリーマン破綻前に、市場には緩和マネーがあふれ債務漬けが広がっていた。リーマン破綻も引き金を引いたにすぎない。

 今回の危機は、道筋が少し異なる。新型コロナ感染症による外出規制、店舗などの営業停止、国境封鎖などにより、まず需要の急速な収縮・減退が発生し、そのことで企業の生産の縮小、売上急減を招き、資金繰りが困難となり、企業への投資資金が一斉に引き上げてしまい、資金繰りをギュッと締め付け、全体として金融が急収縮し信用不安を増大させている。現局面は、信用不安から金融恐慌に突入する瀬戸際にある。金融恐慌に入れば、資本の流動性が止まり、そのことで一層生産を縮小させる=恐慌となるのは必然だ。

 今現在は(3月28日)、各国の中央銀行が大量の資金供給を実施して支え、信用不安に陥らないように必死に踏ん張っている。

 いずれ時が経てば、危機がどのように拡大し、人々に犠牲がどのように、どれほど転嫁されるか、明らかになるだろうが、現時点ではその展開、規模はいまだ予想できない。(これを書いている3月28日時点での判断である。時が経過すれば信用不安・金融恐慌への展開はより明確になっているだろう。)

2)米国が信用不安の震源となる!

 3月26日現在、金融資本、銀行、投資家は一斉に市場から、資金を引き揚げている。株は大量に売られた。損失を被った金融資本、銀行、投資家は国債や金を売って現金に替え損失を埋めた。金や米国債といった「安全資産」と呼ばれてきた金融資産までが投げ売りされている。極端な不安心理により、金も米国債も「現金=ドル」に換金売りされ、「ドル」に殺到した。その国債を、米連邦準備理事会(FRB)が大量の資金を投じて買い支えに動いている。

 米株価は大暴落した。2月12日の2万9,551ドルをピークに、3月中旬には2万ドルを割り込んだ。
 この株安局面では当初、セオリー通り、「安全資産」(株より安全な資産)である金や米国債がいったん買われ、金や国債が資金の「逃げ場」になった。

 流れが変わったのは3月9日だ。米ダウ平均株価の下げ幅は、2,000ドルを超えた。過去最大の下げ幅だ。金融資本、銀行、投資家が損失を穴埋めするため、金も米国債も換金売りの対象にした。

 金や米国債がいくら「安全資産」でも、それらでモノを買ったり、投資したり、損失の支払いをしたりはできない。事態は、急速に深刻な事態へ突入したということだ。

 3月9日からの10日間で、金の相場は1割以上下落した。同じ時期に米国債も売られ、利回りは約0.6%も上昇した。金融資本、銀行、投資家=「富裕層」が急いで手にしたのは、何といっても「現金=ドル」だ。

 実際に、ドルは主要通貨に対して上昇した。ドル買いが殺到したことを示している。9日に1ドル=102円台だったドル相場は、20日には110円台にまで上がった。
 米国債まで投げ売りされるのはきわめて異例だ。危機の大きさ、急激な需要の収縮を示している。

 そこで動いたのが米連邦準備理事会(FRB)だ。3月23日、米国債などを買い支え、その見返りにドルを供給する「量的金融緩和」を「無制限」に実施すると決めた。金融資本、民間銀行、投資家は安全資産である米国債を売ってまでも現金を確保しようとしており、FRBの資産購入が受け皿になっている。

 FRBは3月15日から量的緩和を再開し、大量に米国債などを買い入れて資金供給している。その規模は、2008年の金融危機時をすでに上回る。3月20日以降、毎日1,000億ドル超の資産を購入している。26日も米国債や「住宅ローン担保証券(MBS)」を1,000億ドルも買い入れた。とてつもない規模だ。

 3月25日の時点のFRBの総資産は、5兆2542億ドル(約570兆円)と過去最高を更新した。3月15日からのわずか2週間で9,423億ドル(約103兆円)増え、ピーク時の日銀の年間増加額(約80兆円)を上回った。さらに更新し続け、巨額の債務買い支えとなるだろう。

 FRBが米国債の大量購入や短期市場の資金供給に取り組むが、金融市場はいまだに不安定だ。FRBはさらに、リスクのある社債などを購入する資金供給策も検討しているが、信用度の小さいあらゆる証券、社債を買い上げることなどできない。

 前例のない大規模な資金供給は、とりあえず効果を上げたようだ(3月26日現在)。3月中旬に1.3%まで上昇した米国債利回りは、26日には0.8%にまで下がった。
 ただ、FRBの措置が及ばない市場では、一段と資金不足が強まっている。

 FRBは、15日以降、社債やCP(企業が短期資金を調達するために発行するコマーシャル・ペーパー)、商業用不動産ローン担保証券(CMBS)など、立て続けに資金供給策を拡大した。しかし、FRBが買い入れや担保の対象とするのは「高格付けの証券・債権」のみ。「低格付け商品」は救済の対象から外れ、逆に信用不安を誘って金利が上昇した。シェールオイル企業の発行している「低格付け社債」は、価格が下がり金利は5%から10%へ急上昇した。CMBSも政府系機関の支払い保証が必要で「保証なし」の銘柄は価格が急落した。

 問題は、FRBがすべての証券を買い支えできないこと、そして永久に買い支えできないことだ。

 一方、米政府が行おうとしている財政支出は、「企業の売上激減を政府が肩代わりする」対応である。大規模な財政出動にともなって、さらに国債発行額は増加する。これをまた中央銀行は買い支える以外にない。

 新型コロナウィルスの流行によって、「蒸発」した需要が再び立ち上がらない限り、企業は倒産に至り、金融危機を招く。FRBができるのは、信用不安から金融恐慌に陥らないように、大量に資金供給を続けることだけだ。問題は、この期間がどうやら長引くということだ。誰もまだ先を読めない。
 この危機は世界中に広がるし、世界経済をとらえる。

3)そのあとには何が残るか?

 あとには、大量のFRB資産=肩代わりした借金が残る。金融資本、銀行、投資家、要するに今やっていることは、米国の支配階級、富裕層が損失を出さないように、破産しないように、国家ぐるみで救済しているのだ。
 2008年のサブプライム恐慌で行われたことが、再び、しかし上回る規模で繰り返されている。

 はっきり言っておかなくてはならないのは、新型コロナウィルス発生直前において、世界的にすでに巨額の量的緩和が行われており(2008年のサブプライム恐慌前の1.5倍以上にのぼる)、何かを契機にして信用不安から金融恐慌に突入する脆弱な状態はすでに準備されていた。新型コロナウィルス感染症が、見事な引き金になったと捉えるべきである。(新型コロナウィルスが原因であるかのように、ものごとを説明してはならない。)

 したがって、あらためて認識しておかなくてはならないことは、資本主義は周期的な膨張と経済恐慌を克服できないということ、最近では信用不安、金融恐慌を通じた世界恐慌への突入が避けられないということだ。グローバル化した現代世界においては恐慌は必ずや世界恐慌となる、この現実をあらためて理解しなければならない。

 経済恐慌は資本主義の宿痾として付き纏う、今回もそれを繰り返す。この危機を回避する手段を、資本主義は持っていない。その意味では、資本主義は人類と地球にとって「持続可能な」システムではないということが、今回の危機を通じてあらためて証明された。

 「地球温暖化」が人類と地球にとって、資本主義は「substainableな社会システム」ではないことを証明したように、世界的な経済恐慌も資本主義が「持続可能な」システムではないことを証明した。
 グレタ嬢は何と言うだろうか?

 資本主義市場が、「自己調整など決してしない」ことはすでに判明している。企業が閉鎖するにつれ、世界中で働く多くの人々が、至る所で仕事を失い、負債を抱える。約10年に一度の世界的な経済恐慌のたびに、金融資本、銀行は「大きすぎて潰せない」とされて国から「救済」という名で資金を盗み取り、生き延びる。他方、多くの人々は貧困化し、階層化し分断される。1%が富の大半を握る、一段と格差が拡大した社会となる。資本主義における景気後退、恐慌は、弱者を淘汰するプロセスだ

 これをいつまで続けるか!続けられるか!ということだ。 (3月28日記)
(文責:小林治郎吉)











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