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ハンジン・フィリピン社の破産 [フィリピン労働運動]

 ハンジン・フィリピン社の倒産と労働者の状況、要求、闘争の現状について、プリモに問いああせたところ、下記の文書が送られてきた。19年3月20日前後の文書で少し古いが、掲載する。

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ハンジン・フィリピン社の破産

ハンジン・フィリピン社とは?

180125 世界最大のコンテナ船船、アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ就航式.jpg
<2018年1月25日、スービック韓進造船所で行われた世界最大のコンテナ船アントワーヌ・ド・サンテグジュペリの就航式、元大統領マパカバル・グロリア・アロヨ(前列左から6人目)、ハンジン社長Gwang Suk Chungなどが並んでいる>


 ハンジン重工業フィリピン社スービック造船所(以下:ハンジン・フィリピン社)は、世界で5番目に大きいドッグを持つ造船業者。韓国資本の韓進重工業のフィリピン子会社。韓進グループは、韓進海運、大韓航空などを要する韓国の財閥だが、オーナー家内の争いから韓進重工業はこのグループから離れている。一方、韓進海運は倒産し、韓進財閥は危機にある。

 1991年にアメリカ海軍が退去したルソン島スービック海軍基地だった地域が「自由経済区」に転換され、現在はスービック湾メトロポリタン当局(SBMA)によって管理されている。ハンジン・フィリピン社は、その一部敷地であるサンバレス州スービック湾レドンド半島(スービック湾をはさみオロンガポ市の向い側)に直接投資し造船所を建設した。

 韓進重工業は、造船では韓国内5,6番手であり資本蓄積が小さいため、フィリピン・ハンジン社では、1万人の労働者が造船所を建設しながら、他方、1万人の労働者が船をつくるというスタイルで操業を始めた。ピーク時には、ハンジン・フィリピン社の労働者数は33,000人に達した。造船業は、労働集約的産業であり、その中でもハンジン・フィリピン社は機械化に投資せず人手により造船所を建設し、生産してきた。そのため、労務管理がハンジン経営のノウハウであった。3万人以上の労働者が働いていたが、そのうちハンジン・フィリピン社員はわずか1,000人程度であり、残りは21もの下請け企業からの出向であった。さらにフィリピンの契約労働制度を悪用し、低賃金労働を最大限利用する経営を行った。労働災害が多発し、死亡事故は60人以上起きたが、アロヨ政権が誘致した海外投資であることから政権にすり寄って、労災事故が多発していたにもかかわらず安全衛生基準を実施しようとしなかった。労働組合結成には弾圧で対処した。

 資本規模が小さく債務の大きい韓進重工業は、世界的な造船不況で業績が悪化し、2018年12月、ハンジン・フィリピン社は約7,000人の労働者を解雇し、さらに19年2月13日には、3,800人のレイオフを発表した。最終的には工場メンテナンスのための労働者である300人にまで減らした。

 過去、ハンジン・フィリピン社は労災での死亡事故が相次ぎ労働者から労働安全基準順守違反と申し立てられ、フィリピン議会上院委員会が職場の状況を調査した。 調査報告は、ハンジン・フィリピン社は09年以降、複数の労働災害、複数の死傷者をもたらしたと報告した。それでも、ハンジン・フィリピン社は安全衛生違反を是正しなかった。

 労働組合準備組織サマハン(SAMAHAN-WPL)の記録によると、労働雇用省(以下:DOLE)がハンジン・フィリピン社に労働安全衛生基準違反を是正させなかったため、11年間で60人が死亡し、5,000件もの大規模および軽度の事故が発生したという(最初の3年間のDOLEデータによる)。さらに、21の下請業者はハンジン・フィリピン社と契約雇用を締結し、労働者を派遣していた。ハンジン・フィリピン社社員は、韓国から来た社員を含めて、もわずか1,000人であり、中核の労働者でさえ正規労働者ではなかった。高度なフィリピン人労働者は人間以下の労働条件、生活環境で労働し生活してきた。

 19年初め、ハンジン・フィリピン社は会社更生を申請した。韓国・投資家の債務とともに、フィリピンの銀行に少なくとも4億ドルの巨額債務がある。ハンジン・フィリピン社は、業績が急速に悪化したため、保守作業のためのわずか312人だけを残し、すべての労働者を解雇した。大量解雇は、10年以上にわたってハンジン・フィリピン社で働いてきた高度な熟練労働者と家族の生活を破壊するものだし、地域経済に大きな影響を与えている。

初めに

 2019年3月1日の午前7時、就労を求め出勤した約100人の労働者は、サンバレス州スービックにあるハンジン重工業フィリピン社造船所への入場が禁止された。 ロックアウトされた彼らはゲートでピケットを行った。100人の労働者は、会社・経営陣によって提示された「自主的削減プログラム(VRP)」(=自主的な退職条項を含む)」への署名を拒否した人たちだった。 自発的な退職に同意した200人の労働者のみが造船所の敷地への入場を許可された。現在まで、ハンジン関係者この問題について沈黙したままだ。
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※ビジネスミラー紙、ニュース
2004年に操業を開始して以来、ハンジン・フィリピン社は、低賃金にもかかわらず熟練した有能な労働者によって極めて短期間で、123隻の建造を完了した。[Cabuag、V.(2019年1月9日)。ハンジン・フィリピン社は、債権者の法的救済を求めている。
https://businessmirror.com.ph/2019/01/09/hanjin-subic-shipyard-seeks-court-relief-from-creditors/から
2019年1月12日取得
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<スービック、トレンド半島の一部を削って建設したハンジン・フィリピン造船所の全景>

 ハンジン・フィリピン社によるフィリピン労働者に対する粗雑な扱いは目新しいものではない。会社の劣悪な労働慣行は、現在の経営破綻の前にすでに記録されており、死亡事故、多数の事故を引き起こしてきた。フィリピン政府がこれまでハンジン・フィリピン社の「労働安全衛生違反を是正させられなかったのは、政府の責任であり、現在もなお政権の課題である。大企業の利益より、先に国民の権利と生活をどのように護るのかという問題だ。

ハンジン・フィリピン社の会社更生法申請

 債務が増大したため、2019年1月8日に、ハンジン・フィリピンは共和国法10142または「財政的に苦しんでいる企業および個人の更生または清算を規定する法律」に基づく会社更生を申請した。[Sison、B.、Jr.(2019、 1月16日)。 オロンガポ市地方裁判所(RTC)は、会社更生のためのハンジン請願を受理した(フィリピン・スター紙)。
https://www.philstar.com/headlines/2019/01/16/1885490/rtc-grants-hanjin-petition-rehabilitationから2019年1月17日に取得したニュース]

 2019年1月14日、オロンガポ市地方裁判所(RTC)支部72がハンジン・フィリピン社・管財人の請願を受理し、直ちに会社を企業更生の対象にした。

 現在の「公平な負債」の会社更生計画は、5つの外国企業の参入を歓迎している[マナバト、A。(2019年3月20日)。 5つの外資系企業、地元銀行のコンソーシアムは、ハンジン社の再生を狙っている。ビジネスミラー紙、ニュース。 2019年3月21日、
https://businessmirror.com.ph/2019/03/20/5-foreign-firms-consortium-of-local-banks-eye-hanjin-rehab/?Fbclid
 
 ハンジン・フィリピン社の倒産については、偽証の疑いもあった。最近の進展ではハンジン・フィリピン社は操業を継続する動きも見せており、その場合は造船所の人材が必要になる。それにも関わらず、すでに10年間会社で働いてきた労働者を再雇用するために、ハンジン・フィリピン経営陣も労働雇用省も何の動きもしていない。

交渉と解決策

 2019年1月28日、労働組合準備組織サマハンに結集した労働者は、ハンジン・フィリピン社の会社更生申請に伴い労働者の置かれた困難な状況に対処するために、シルヴェスト・レ・ベロIII労働雇用省長官との交渉を求めた。労働者たちは、きちんと賃金を支払うこと、賃金から差し引かれる3%の雇用債の払い戻し、失業補助金、および労働者とハンジン・フィリピン社間の法的拘束力のある契約を通じた優先再雇用などの救済を求めた。

 ハンジン経営陣は労働者の要求に応じることなく、19年2月8日に自主的な退職に関する覚書を発行し、「自主退職プログラム(以下:VRP)」に署名した人だけが離職手当などの利益を受け取ることができるという条件にした。これに対応して、サマハンはこの問題を明確にするために、三者間対話を要請する手紙をDOLEに送った。

 2月19日、労働雇用省 第3地域ディレクターのシェナイーダ・アンガラ・カンピータ(Zenaida Angara-Campita)が司会を務める3つの交渉が、ハンジン社の異なる下請業者と労働者組織サマハンの間で、開催された。労働者の要求に関して、両当事者間の最終的な合意は得られなかった。

 3月1日、「自主退職プログラム( VRP)」への署名を拒否した113人の労働者は、RFIDがブロックされた状態でロックアウトされていることに気付いた。そのため、ハンジン労働者は仕事に戻せと要求しピケットラインを設置した。人事部長ユージン・デロス・サントスは、労働者のピケットにこたえ、電子エントランス装置が誤作動し、IDが意図せずにブロックされたと説明した。しかし、それは言い訳にすぎない。彼はまた、労働者に状況を説明するメモの回覧をリリースし、VRPを利用しなかった人々が働き続けることができることを保証した。しかし、経営者はメモの回覧ではなく、労働者の下請業者から閉鎖通知をリリースしたとされている。

 すぐに、サマハンは3月4日付けの労働雇用省シルベストル・ベロIII長官宛てに、労働者の利益を守り、直ちに経営陣に介入するよう促す手紙を送った。応答がなかったので1週間後、支援団体「ハンジン労働者の友(FOHW)」が、19年3月11日にマニラ、イントラムロスにある労働雇用省前でピケットを行い抗議を開始し、ベロ長官宛てに、労働者が置かれている困難な状況を直ちに是正するよう500人以上の学生が署名した請願書を手渡した。 労働雇用省は請願書を紛失したと言っている。ピケが激化するにつれて、ベロ長官は直ちに労働者組織サマハンと支援団体「ハンジン労働者の友(FOHW)」が参加する対話を呼びかけた。

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<ハンジンのコンテナ船>

 残念ながら、ベロ長官は労働者の問題に対処する代わりに、ドゥテルテ現政権の「ビルド、ビルド、ビルド」計画推進したし、スービック・ジョブフェアを強調する他の仕事でごまかすことができた。皮肉なことに、ハンジンで職を失った者からなる6,000人の労働志願者のうち、地上勤務で雇われたのは99人だけだった。さらに、労働雇用省は、ハンジン・フィリピン社がすでに閉鎖を申請しており、企業の受入能力を超えているため、三者間の対話を実行するよう管財人を強制することはできなかったと主張した。

 会議中に労働者から提供された事実を立証するために、交渉のため視察することはできた。ベロ長官は、対話の一環として、労働関係副長官であり、特別担当および地域活動グループ、CESO III担当のアナ・C・ディオーネ(Ana C. Dione)副長官に、サマハン指導者とともに現場視察の任務を割り当てた。

 2019年3月13日、労働雇用省アナ・ C・ディオーネ副長官と労働雇用省3リージョナルディレクターのシェナイーダ・アンガラ・カンピータは、サマハンの参加なしにハンジン造船所の視察を行った。サマハンの継続的な努力にもかかわらず、そして文書のフォローアップを行ったにもかかわらず、結果はまだ発表されていない。

労働組合準備組織サマハン(SAMAHAN)の現状

 20日間のピケットラインは、労働者だけでなく、稼ぎ手に生計を当てている家族にとっても困難な任務だった。残った53人のハンジン労働者の要求は、会社が操業を再開するまで彼らが仕事に戻されることだ。これらの労働者は、退職に応じていないが、メンテナンス作業を行う準備はできており、会社更生の後、新しいハンジン経営陣に加わる準備も同様にできている。

 この単純な要求にもかかわらず、労働雇用省は、造船での10年の豊富な経験を考えると、すべてが高度なスキルを備えた労働者の福祉にまだ取り組んでいないようだ。これは、11年間で123隻の船を生産し、そのうち99隻が58億ドルの価値があるという事実によって補強されている。しかし、労働者と彼らのスキルはぼろきれのように扱われている。

アクション
 19年3月25日の午前9時に、ピケットラインの53人の労働者と支援団体「ハンジン労働者の友」(労働者を支援する学生組織、機関、個人のネットワーク)の約400人のメンバーは、マニラ、イントラムロスの労働雇用省に集まる。

 抗議者たちは、午前8時30分までにメハン・ガーデン(Mehan Garden)前に集まり、午前9時までにイントラムロスの労働雇用省本部に向かって行進する。

 この決定的な行動は、フィリピン造船業で働く労働者たちが耐えてきた10年にわたる不公正を終わらせるための、労働者への呼びかけのためだ。

詳細については、以下に問い合わせ請う。


A)プリモ・アンパロ(Primo Amparo)
   ――「人々の解放のための労働者
  電話番号:(02)7173262
  連絡先:0917-867-6664
  メールアドレス:workers4peopleslib@yahoo.com
  住所:#22 ドミンゴ ゲバラ通り、バランガイ マンダルーヨン市ハイウェイヒルズ、メトロマニラ

B)ヴィルジリオ・M・ロドリゴ・ジュニア(Virgilio M. Rodrigo Jr. )
  書記長-サマハン
  メールアドレス:samahansahanjin@yahoo.com
  連絡先:0939-837-1669
  住所:#70、ソリアーノ通り、バランガイ、ワワンデュ、スービック、サンバレス州

C) ジュリー・スマヨプ(July Sumayop)
  スポークスマン――「ハンジン労働者の友」
  連絡先:0956-067-9435
  住所:フィリピン大学ディリマン校
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