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ハンジン・フィリピン労働者に支援を! [フィリピン労働運動]

 ハンジン・フィリピン社の倒産について、プリモから報告が送られてきました。下記に紹介します。

 ハンジン・フィリピン社は韓国・韓進重工業の子会社で、アロヨ政権の外資優遇措置(FDI)を受け、フィリピン・サンバレス州のスービック湾に巨大な造船所を建設し稼働してきました。オロンガポ市の対岸に位置します。韓進重工業は、韓国の韓進財閥グループですが、16年は主要企業であった韓進海運が倒産し、もう一つの主要企業である大韓航空は「ナッツ姫事件」で財閥支配が批判されてきました。そんななか韓進グループの代表を務めてきた趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長が19年4月7日に急逝し、いよいよ財閥解体にむけ加速しています。

 造船業は景気変動により受注が大きく変動します。資本力の小さく債務の大きい韓進重工業―ハンジン・フィリピン社は、韓進グループからの支援も得られず、倒産に至ったと思われます。

 現地では、3万人が働くハンジン・フィリピンの倒産の影響はとても大きいようです。労働者団体がピケットを組織し未払い賃金や雇用保障を求めています。

 なお、ハンジン・フィリピン労働者協会(サマハン)は「労働組合準備会」です。フィリピンでは労働組合準備会を組織し、組合代表選挙で労働者の半数以上の支持があって初めて、企業と労働雇用省によって労働組合として認められます。ハンジン・フィリピン労働者は何度も組合代表選挙を準備しましたが、その都度会社側は代表者たちを解雇し弾圧したり、また下請け労働者を多数化したりして、労働組合結成を妨害してきました。

ハンジン・フィリピン労働者 支援キャンペーンの呼びかけ
サマハン(ハンジン・フィリピン労働者協会) 2019年1月25日


 2019年1月8日、韓進建設重工業フィリピン社は、(Hanjin Heavy Industries and Construction Co.、Ltd Phils)は、フィリピン共和国法10142または「財政的に危機に陥った企業および個人の更生または清算を規定する法」の下で、オロンガポ市地方裁判所72支所に会社更生を申請し、破産しました。ハンジン・フィリピン社は、フィリピンの最大5大銀行からの4億1,200万ドル、韓国の貸し手から9億ドルの貸付残高に及ぶ巨額債務を抱えています。

 ハンジン社の主張によればこの破産は、「未払いでキャンセルされた注文」、「優遇電力料金や減税などの政府の特典の期限切れ」、そして「世界市場における貨物船の需要の激減の結果」によるというのです。

 ハンジン社は、サンバレス州スービック湾にある大規模な韓国資本の造船会社です。「スービックの新星」として知られており、アジアで4番目に大きい超大型ドック(長さ550メートル、135メートル)などの「最先端の機器」を完備した最先端の造船所です。(幅:超大型ガントリークレーン年間600,000デッドウェイトトン数(DWT)の造船能力を持つ自動組立ラインを持つ。)

 それはアロヨ大統領によって批准された外国直接投資(FDI)によって優遇的な電力料金から免税期間まで政府の全面的な支援を受けてきました。

 ハンジン社の製造能力と規模は、貨物船、バルクキャリア、スエズマックス、アフラマックスタンカー、超大型原油船(VLCC)、液化石油ガス船(LPG)、フローティングドックなどに及び、さまざまな種類の123隻を輸出用に生産にしてきました。さらに、少なくとも3つのサッカー場が組み合わさった大きさの世界最大級の商業用船、Antoine De SaintExupery、長さ400メートル、幅59メートル、深さ33メートルの20,600平方フィート(20フィート)相当のコンテナ船の建造しました。これらの最高級船の背後には、21の下請け業者の下で契約労働の犠牲になっているハンジン社で働く3万人もの熟練、半熟練のフィリピン造船労働者がいます。

 ハンジン社が労働安全衛生基準の実施を拒否し、基本的な労働者の権利を認めず、建設および造船基準の遵守を拒否しているため、ハンジン労働者は命を脅かされる危険な状態、労働条件にさらされてきました。事実、ハンジン・フィリピン労働者協会(サマハン)が把握しているだけで、2008年から2018年の間に52人が死亡し、さらに軽傷から重症までの28件、および管理職による12件の虐待が記録されています。しかしながら、造船所の事故に関する情報へのアクセスは、厳重な「秘密」となっており、ハンジン経営陣は意識的な努力を払って労災事故の機密を保っています。

 最近の事件は、2018年5月12日に足場が崩れ2人が死亡し、2人が昏睡状態に陥りました。彼らを含む計10人の労働者が肉体的または精神的外傷以外の軽傷および一時的外傷を負いました。

 ハンジン社は労働者の権利に対し抑圧的、独裁的でした。それは2009年、ハンジン社は30人の労働者が訴えた労働者が組合化する権利を認めませんでした。 労働者組合(HHICPIWU)は、様々な死亡事故を含む労働災害をフィリピン上院労働委員会に訴え、ハンジン社の実際の労働環境に注意を向けさせました。しかし、この訴えにハンジン社は告発した労働者を強制的に退職に追い込む「報復措置」で対応しました。同じことが2011年にも起こりました。ハンジン労働者が労働組合準備組織であるハンジン・フィリピン労働者協会(SAMAHAN-WPL)を結成し、職場の安全、食堂での清潔で健康的な食事、賃金上げ、職場の安全、労働者の認識のための闘争を申し立てました。しかし同様に、会社による弾圧や罰の執行によりオルガナイザーの多くは退職を余儀なくされました。

 さらに、ハンジン社は、3ヶ月以内での貨物船建設を実現するために、労働者を残業、夜間労働、24時間労働に追い立てました。貨物船建設が終わった後も、ほかの注文が完了する直前の2017年には、コスト削減のため33,000人の労働者を16,000人へ削減しました。景気変動により貨物船の受注生産には「高揚と崩壊(boom and bust cycle)」サイクルがありますが、会社はこれを利用し大規模な雇用と解雇の繰り返して来ました。働く労働者にとってはたまったものではありません。利益を最大化するため大規模な雇用と解雇の繰り返してきた事業は、熟練した中核労働者を失い、要求された性能の船を造り損う結果をもたらしました。

 このような、非常に有能で熟練したコアワーカーの大幅な削減、国際的な建設・造船基準の不遵守、労災事故に関する悪名高い記録を更新してきたハンジン社の契約労働方式に内在する矛盾は、船の性能に対する購入会社の信頼を傷つける結果をもたらしました。

 そしてハンジン社の罪は、会社経営が立ち行かないところにまでに至りました。会社経営の危機に際しても、労働者の状態に無関心のままです。自主的な経営再建の申請に先立ち、ハンジン社は2017年12月に7,000人の労働者を解雇し始め、今年の初めには3,000人いた労働者を、19年3月には施設維持のためにわずか300人のフィリピン人労働者と7人の韓国人労働者を残すまでになっています。 2019年1月15日のハンジン社による会社更生申立てが裁判所によって承認されたとしても、労働者は一方的に解雇されただけで、未払い賃金、退職金などの問題は依然として解決していません。

 これとは別に、ハンジン社の会社更生に伴う事業の大規模な縮小のため、周辺コミュニティや食堂、屋台、家屋、寮などの中小企業者などの経営が立ち行かなくなり閉店しました。通称「ハンジン村」に住んできた労働者たちも突然の廃業、解雇により、住宅ローンの債務不履行により家を失うという脅威に直面しています。結局、ハンジン社は「外国資本による直接投資における様々な優遇措置」(FDI)をフィリピン政府から享受してきました。そのうえフィリピン政府の保護によって、この嵐を乗り切ろうとしているのです。

 今、私たちはハンジン労働者と一緒になり、彼らの権利を求めて戦うことを呼びかけます。私たちの集団的行動と団結を通してのみ、ハンジン労働者や周辺住民たちの権利を主張し、事実上彼らの要求に応えることができると確信しています。

 労働者の要求を尊重するため、労働雇用省(DOLE)シルヴェストル・ベロ(Silvestre Bello)長官に、以下のことを要請します。

1. 影響を受けた労働者は、彼らが支払われるべきであるという分割報酬を受け取るべきである。
2. 労働者の給与からハンジン経営陣が得ていた3%の保証金を労働者に返金すべきである。
3. 再雇用までの保障
 a) 労働者は、新たな雇用を見つけるまでの期間暮らすうえで、食料、宿泊費、教育費、医療費を賄うのに充分な失業補助金を与えられるべきである。
 b) 通称「ハンジン村」に居住するハンジン労働者に、違約金を支払うことなく住宅ローン支払いを強制的に一時停止させること、ローン支払い再開は労働者の再雇用に際してのみ行うこと。
4. 経営危機の終結までのあいだ造船所への権利を所有する可能性がある者と労働雇用省のあいだの法的拘束力のある契約を通じて、操業を再開した後、元労働者の復職が優先されることを保証すること。
 
 フィリピンで働く人々、社会のさまざまな分野、学生と若者、弁護士と専門家、女性、そしてLGBTなど権利のため闘う人々と団体、あるいは学術界、マスメディア、芸術、宗教団体、立法部門などフィリピン社会において尊敬されている人々や機関が、会社更生により苦しんでいるハンジン労働者とともに、彼らの要求を支持し、労働者の生活や権利を脆弱にしている契約労働制度を終わらせるために、結集し、団結して行動しなければなりません。

 私たちのできること、すべきことは、以下のとおりです。
1. ドゥテルテ大統領および労働雇用省ベロ長官あてに、緊急上訴の書簡を提出する。
2. フィリピン上院と議会に、事件についての調査を行うよう要請し、執行部にハンジン労働者の呼びかけに注意を促す決議を作成する。
3. 労働者のための支援団体、キャンペーン組織の結成と連携した活動を行う。
4. 財務、物流、および非財務サポートを収集する。
5. 情報を広め、危機の詳細な調査を実施して、さらなる情報を提供する。

 サマハン(ハンジン労働者協会=労働組合準備会)のリーダーシップを通じたハンジン労働者による現地と現場における要求や行動に積極的に注意を喚起し、支援や連帯の行動を組織化し動員することで、より多くの支持者とキャンペーンによる支援を集めるでしょう。ハンジン労働者の本拠地でのピケットなどの集団的行動やその家族およびコミュニティへの支援連帯、ならびに国内および世界規模での支援団体の反響的な支持によって私たちの闘争は決定的な勝利への道を切り開くでしょう。

連絡先:
ノエル・デ・メサ
 人民解放のための労働者
 テレファックス番号:(02)7173262
 メールアドレス: Workers4peopleslib@yahoo.com
 住所:#22ドミンゴ ゲヴァラ通り ハイウエイヒルズ・バランガイ、マンダルーヨン市、メトロ・マニラ

ヴァージリオ・M・ロドリゲス ジュニア書記長
 サマハン - WPL
 電話番号:(047)73065871
 メールアドレス:Samahan123@yahoo.com    samahansahanjin@yahoo.com
住所:#70、ソリアーノ通り、ワワンドュウ・バランガイ、 スービック、サンバレス州

*****

ハンジン・フィリピン労働者への支援の呼びかけ


ジミー・レガラリオ(Jimmy Regalario)議長への要請書 
キルサン・マカバンサン・エコノミヤ、レガラリア議長
2019年3月22日


親愛なるレガラリオ様、
 連帯のあいさつ
 ハンジン・フィリピン労働者への支援を!

 2019年3月1日以降、今日(3月22日)まで、会社側による「自発的退職プログラム」(Voluntary Retrenchment Program :以下VRP)への署名を拒否したハンジン労働者は、造船所への入所が拒否され、将来造船所で働けなくなる可能性があります。その一方で、すでにVRP=「自発的退職プログラム」に署名し退職を受け入れたた労働者たちは、VRPの不参加者が担うことになっていた造船所の保守作業に呼び出され、利用されました。

 そのような事態を前に、VRPを受け入れなかった多くの労働者は家族と共に、サマハン労働者協会(Samahan ng Manggagawa ng Hanjin Shipyard(SAMAHAN - WPL)のリーダーシップの下、3月1日から会社前にピケットラインを設置しました。3月22日現在、ピケットのよる抗議の23日目に入っています。

 奮闘しているハンジン労働者たちは11年間造船所で働いてきましたが、多くの労働者は下請け契約であり、不安定な契約労働のままでした。世界最大の商業船である「Saint Antoine de Exupery」を含む123隻の船舶を生産し、資産を築いたハンジン社は、まさに数百万の利益を上げました。同社は労働安全衛生基準の実施を拒否したため、2008年から2018年までの間に、労働組合が把握している限り、労災事故による労働者52人の死亡が記録され、労働者はぞっとするような状況で働くことを余儀なくされてきました。殺人企業ハンジンと呼ばれました。ハンジン社は、組合結成回避のためあらゆるスキームや手段による抑圧を実施し、労働者に保証されている基本的権利、憲法上保証されている権利を侵害したことで知られています。労働者の権利は踏みにじられ続けており、今や会社は働いてきた労働者を容赦なく切り捨てています。

 19年3月、ハンジン労働者はもはや働くことを許されておらず、労働者と家族は生活と生存の危機に晒されています。ハンジン労働者が家族の主な稼ぎ手であった今、その唯一の生計手段を失っています。さらに言えば、労働雇用省は最初に労働者自身の要求の実現を手助けすると以下の内容の約束をしました。- 「・1ヶ月給与の分割支払い、・造船所が操業を再開するまでの補助金を支給する、・ハンジン労働者らがハンジンで新しい仕事を見つけるか、再雇用されるまでPAG-IBIG住宅ローンを延期する。・造船所の操業再開時には、移住したハンジン労働者の再雇用を優先的に保証する」という内容でした。

 しかし今や労働雇用省はかつての約束を守る気はないようです。造船所はすでに閉鎖されており、労働雇用省が労働者のためにできることは、ハンジン経営者が保証できないと言った分割払いやほかの要求を、労働者が受けとることができるように手助けすることだけです。

 そのため私たちは、ピケットを闘うハンジン労働者とその家族への様々な寄付、米、コーヒー、砂糖、缶詰、水、毛布などの素材または現物の贈り物などあらゆる形での支援を行うよう、さらにはその闘いに連帯するように訴えています。

 あなたがたの連帯とあらゆる形の支援は、ハンジン労働者を勇気づけ感謝を呼び起こし、彼らの雇用保障と公正な闘争への決意を確実に強化するものとなるでしょう。

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