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スミス上等兵はニコルさんの名さえ知らなかった [米兵によるレイプ事件、犯罪]

スービック・レイプ事件の公判の様子をインクワイアラー紙が伝えています。
以下はその抜粋です。

米海兵隊員スミス上等兵は、「レイプではない。合意の上でのセックスだ。」と主張していますが、被害女性の名前さえ知らなかったことが裁判での証言で明らかになりました。
また、米政府は被疑者を尋問した米海軍犯罪調査局・職員の裁判での証人出廷を、外交官特権に従い拒否していましたが、批判の高まりから出廷に応じる態度に変更してきました。

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被告人スミス上等兵はニコルさんの名さえ知らなかった!
米国は、職員がスービックレイプ事件裁判で証言することを認めた。


スミス上等兵は女性の名前さえ知らなかった!
米海兵隊・上等兵ダニエル・スミスは、現在レイプ罪でフィリピン人女性に告訴されているが、この女性をスービックの大衆バーの外へ連れ出す際、彼の上官の許可を取っていた。
その証言を、昨日(6月14日)マカティ地裁でパパジョージなる人物が行った。パパジョージ氏は、出廷を要請された米海軍犯罪調査局(NCIS)の4人の職員のうちの一人であり、当初外交官特権を根拠にマカティ地方裁判所への出廷を米国大使館から止められていた人物である。
パパジョージ氏は、レイプ容疑のあった2005年11月1日夜の約24時間後にスミスにインタビューした人物でもある。
証言で明らかになったのは、スミスが女性の名前さえ知らなかったことだ。
スミスは女性と「合意の上でのセックス」したと主張しているにもかかわらず、パパジョージ氏に
彼女を「アジア人女性」とだけしか言わなかった。
パパジョージ氏は法廷で次のように証言した。スミスは、上官の了解の下、現在共に起訴されたスタッフの軍曹チャド・カーペンティアとともに、酔っ払った女性をバー・ネプチューンの外に連れ出し、カーペンティアや他の二人の海兵隊員がはやし立てるなか、レイプ容疑のかかったそのバンのなかに連れ込んだ。

完全な方向転換
米国政府は、米海軍犯罪調査局員がレイプ裁判で証言することを認めた。
昨日(6月14日)出された声明の中で、「正義が公正で公平な裁判において実現されると見なされるならば、米国の政府は、レイプの罪で告発された4人のアメリカ海兵隊員裁判において、数人の米国公務員の証言を認めることに合意する」と米国大使館は述べた。
声明によると、米国政府は「この裁判で証言するという限定された目的のために」マニラ米国大使館に配置された2人の米海軍犯罪調査局職員の外交官特権を放棄した。
調査に参加した2人以外の他の米海軍犯罪調査局職員は、フィリピンに戻るように要請されるであろうと大使館は言明した。
「この決定は、フィリピン外務省との議論、そして法廷証言をウィーン会議によってカバーされた証人からの裁判証言を要求する適切な過程についての議決によって、なされた。」

7番目の証人
7番目の検察側の証人として米海軍犯罪調査局・特別捜査官パパジョージ氏は、彼が2005年11月2日の午前2時から午前5時の間、埠頭にいた船、USSエセックス船上でこの2人の海兵隊員、スミスとカーペンティア軍曹を尋問した時、彼ら二人はこれらの行為を「認めた」と証言した。
パパジョージ氏は、この事件に関して彼が編集した4巻にもおよぶ実情調査報告について証言するために呼ばれた。報告書には、行われたパパジョージ氏や他の捜査官による、容疑者と数人の目撃証人の尋問が米海軍犯罪調査局職員よって編集されている。
この報告書は、「ニコルさん」として知られている原告とのインタビューを含んでいない。
直接尋問で、パパジョージ氏は、主任検察官エミリー・フェ・デロス・サントスによって読みあげられ印をつけられた一節を、主に確認した。
この一節では次のように述べられている。スミス被告は、「原告(被害者)が被告人スミスと一緒にスターレックス・バンの中にいたと認めていて、仲間が囃し立てているなか、彼はバンの中でこの”アジア女性”と合意の上のセックスをした」。
デロス・サントス検察官によって、報告の中でそのように判断する根拠は何かと聞かれて、パパジョージ氏は、「私がスミスに尋問し、彼がアジア女性と性行為を持ったと言った。しかしスミスは彼女の名前を知らなかった。」と証言した。

5杯のビール
他方、起訴された一人であるカーペンティア軍曹のこと。バー・ネプチューンの外に連れ出したのが「スミスであるとカーペンティアは認めた。」と、報告に書かれているとパパジョージは証言した。
バー・ネプチューンは、ニコルさんと起訴された4人の海兵隊員が初めて会い、彼女をバンに連れ込んだ場所である。
スミス上等兵は「名前も知らない、酔っているようであったアジア人の女性」と会ったその夜、「5杯のビール」を飲んでいたと、付け加えた。
マカティ地裁139支所で、ヒアリングで再び出席しているニコルさんは、パパジョージ氏が証言する間ほとんどの、手で顔を覆い、涙をぬぐっていた。
米海軍犯罪調査局・駐在職員 ロナルド・ベルツ氏、彼はパパジョージ氏の上官で、6月5日の裁判審問で証言を始めたのだが、それ以前は米大使館がベルツ氏及び他の三人の同僚の証言を押しとどめていた人物である。その彼が昨日(6月14日)、裁判所に姿を現した。
反対尋問において、パパジョージ氏はスミス上等兵の弁護団ベンジャミン・フォルモソの前で、その伍長は、仕上げられた報告書の中で彼のせいとされるどのような声明にも、決してサインさせられなかったことを認めた。
今回、エセックス船でのパパジョージ氏によるスミス上等兵インタビュー時の手書き「メモ」、それは米海軍犯罪調査局職員が報告書の添付書類として裁判所に提出した書類であるが、これに関して、スミス上等兵の弁護士フォルモソは、以下のような記述に、ベンジャミン・ポソン裁判官の注意を引き付けていた。
「彼女は私(スミス)が好きであった」そして「二人が別れる前の30から40分の間、話したしダンスもした。」「私たち二人はバンの後ろに座った。いろんなことがあって、私たちはセックスに至った。」「彼女は自発的なパートナーだった。」

バンの運転手の供述
カーペンティア軍曹の弁護士フランシスコ・ロドリゴは、パパジョージ氏に、米海軍犯罪調査局によるフィリピン人運転手ティモテオ・ソリアーノへの尋問に基づく報告書からの一節を確認した。このソリアーノ運転手は当初、検察官によって共犯者とみなされていた。
報告書を読んで、ロドリゴ弁護士は、「彼らは下品なダンスをし、腰を絡めていた。ニコルさんは、股をスミスの足に、尻をスミスの股にこすりつけていた。」「これは彼らがセックスをシミュレーションしていたかのように、ソリアーノには見えた。」とつけ加えた。
バー・ネプチューンの通路では、よく見かけられる場面である。
米兵の弁護士は、ソリアーノ運転手がバンを運転している間、バーの別の通路で「女性客が‘やっちゃった’と言うのを聞いた。」ことを強調しようとした。
デロス・ サントス検察官は、原告ニコルさんについての「人物証言」が「取るに足らない」と主張して、パパジョージ氏とロドリゴ弁護士のやり方を短くしようとした。
ロドリゴ弁護士は、法廷の規則を引きあいに出し、そのような証言を提出することで「容疑がありそうであるかないかを証明する」ことができたと反論した。
ポソン裁判官はロドリゴ弁護士を支持し、被告側弁護士は「人物を追うだけではなく、原告であるニコルさんがその時にしたと伝えられることを追跡するべきである。法廷はこれを認める。」と言いながら、ロドリゴに続けさせた。

応諾
米海軍犯罪調査局・捜査官であるパパジョージ氏、ベルツ氏、トニー・ラモス氏、ブライアン・カーリー氏の4名に対して法廷から出された5月30日付けの召喚状に従う米国大使館の決定を受けて、パパジョージ氏は証人台に立った。
ポソン裁判官は米国大使館と米国軍幹部に、6月7日の公判の間、法廷からの召喚状にもかかわらず、4人の米海軍犯罪調査局職員に「出廷不履行」させたことを弁明するように命じた。
6月8日に予定された公判で証言する義務を果たすために、4人の職員が出席すべきであるという通告を、ポソン裁判官は同じように「繰り返した」。
昨日(6月14日)の供述の中で、米国大使館は、米海軍犯罪調査局がオロンガポ市検察官と被告側弁護士に、「2005年11月から始まっているその予備的な報告書の完全なもの」を提供したと伝えていた。
「米国政府はこの疑わしい出来事の調査において”VFA=米比訪問軍事協定”の指針の下で、フィリピン当局とともに働き、訴訟手続の最後に至るまで協力を続けるであろう」と大使館は言明した。
「米国は、正義が報いられるように見守り続け、正しい成果がもたらされる公正で公平なプロセスを見守り続ける」と付け加えた。

裁判の目的
フィリピン外務省スポークスマン、ジルベルト・アスクエ氏は、判決によって「この事件が解決に導かれ、正義が早く実現することを希望する」という米国大使館の声明に賛同する見解を示した。
「それがこの裁判の目的であり、裁判官はその役目を果たすであろう。」「外交官特権の放棄のみならず法律の施行は派遣先国の大権である」とアスクエ氏は追加した。
「フィリピン外務省は、受入国の代表者として、ウィーン会議に従い、担当官や職員の誰であっても免責されるべきであるという大使館の要求に基づいて、当然与えられるべき承認を与えるであろう」。「外務省儀典に基づいて、ベルツ氏だけが完全な外交官特権を持ち、他の職員は職務上の免責を持っている、他の2人の米海軍犯罪調査局職員は、米国政府の外交のリストの上にいないこと、そしてこのリストは派遣国によって、この場合は米国であるが定期的に更新される」とアスクエ氏は言明した。
誰が職務上の免責権を持つ米海軍犯罪調査局職員であったかを尋ねられて、「今日(6月14日)に証言するのは誰でもそうである。」とアスクエ氏は答えた。
その職員はパパジョージ氏であった。


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starstory

はじめまして。Keep9ブロガーズ・リンクから来ました。憲法改悪以前に大変な法案が提出され、法律になろうとしています。新聞では小さくしか報道されず、何が問題なのか話題にすらなっていません。マスコミがあてにならない状況下で、ブログ上あるいはクチコミで広めていただけますようにお願い致します。トラックバックさせていただきます。
by starstory (2006-06-18 14:35) 

kumahide

コメントありがとうございます。
スービック・レイプ事件について日本のメディアはとりあげませんので、ほとんど知られていません。当ブログ記事は自由に転載していただいて結構です。
フィリピンではVFA(軍事訪問協定)で米軍がいますが、アロヨ大統領はより自由に在駐できるように外国軍事基地を禁止するフィリピン憲法改悪を狙っています。
レイプ事件告発する運動は、米軍常駐体制に反対する闘いでもあります。
よろしく。
by kumahide (2006-06-19 01:13) 

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